■おぼろ女ひとり






からみっこなしと 約束したのに
からむわたしは おぼろな女
だれのせいやら ひとりの部屋で
夜のりんごに ナイフをあてる
ひきずる過去が
あなた 肌に熱くて 眠れない


「うそを承知の火遊びならば
お相手しましょ わたしでよけりゃ」
そんな誘いをささやく女が
まぶしかったわ あのころわたし
うぶだったのね
だめよ いまは おバカな夢みるの


おぼろ女の おぼろな夜は
砂を噛んでるヤドカリかしら
カモメじゃないから 筋書きどおり
おぼれ流され すがった恋に
また泣かされる
あなた とてもさびしい 会いたいわ

               本吉すみれ